ブログカテゴリ:たちばなさとえ



その日、年に二度響きわたる勇壮なファンファーレ──障害競走の頂点を競うJ-G1のファンファーレ──を、私が中山競馬場で聴くことはなかった。 年に二度、欠かさずにおもむく大好きな競馬場。しかし、あえて中山行きの切符をとらなかった。 夜も眠れないくらいに待ち望んでいた遠征の足どりを、自ら途切れさせた。...

「アップ、ごめん」 場内に響く悲鳴とどよめきを耳にしたときから、何も言えず、ただ行く末を見つめていた。 そのすぐそばで新たに誕生した障害王者が、あたたかい拍手と声援とともに讃えられていた。 屈腱炎を克服し、幾多の死闘を繰り広げてきたニホンピロバロン。...