2019年のサンデーサラブレッドクラブ第1次募集は、凄まじい結果でした。

サンデーサラブレッドクラブは40口クラブになりますので、最低募集額が一口25万、最高募集額だと一口300万です。

その募集馬達が軒並み満口となり、1番人気の募集馬は抽選枠10に対して175票が集まるほどの大激戦でした。

なぜここまで人気になるのか?

私は『走るから』に尽きると思います。

凱旋門賞2年連続2着の三冠馬・オルフェーヴル。
G1/JPNⅠ合わせて9勝のヴァーミリアン。
牝馬三冠馬・ジェンティルドンナ。
JCをはじめG1を6勝したブエナビスタ。
ダービー馬・ドゥラメンテ。
有馬記念、宝塚記念を同一年に制したドリームジャーニー。
長距離界を沸かせた菊花賞、メルボルンカップの勝ち馬デルタブルース。
天皇賞春を連破したフェノーメノ。

国内外のG1制覇馬等、活躍馬を挙げればきりが無いほどです。
一口馬主であってもダービー馬や海外制覇まで夢見る事が出来る、とてつもないクラブと呼べるでしょう。

一説にはブエナビスタの一口の配当金は4,000万円近くだったと言いますので、これはもう「凄い」としか言いようがありません。

また、中では低価格帯に含まれる一口募集額35万のアエロリットがNHKマイルカップ制覇するなど、決して高額馬だけでなく、どの価格帯からも活躍馬を出すことが出来る点が、最大の魅力だと思います。

今回は、年を追うごとに第1次募集が激戦になっていく「サンデーサラブレッドクラブ」を紐解いていきたいと思います。

サンデーサラブレッドクラブ

費用

募集口数40口

①入会金 32,400円
②競走馬出資金目安 40分の1口 25万円~300万円
③月額会費 3,240円
④維持費出資金 実費変動制(厩舎預託料など生じた金額を口数に応じて支払い。月60万円預託料が発生した場合60万÷40口で一口当たり15,000円の支払いとなる。初回のみ25,000円が発生する。)
⑤保険料出資金 競走馬出資金の3%

がおおよそ発生する費用だと思って下さい。

毎月発生する金額は③と④になりますので、毎月『3,240円+維持費出資金』がかかります。
維持費出資金に関しては、放牧や外厩・在厩によって大きく変動するので、きちんとした数字を出すのが難しいです。

ただ約款には、全て税抜きの数字で、以下の通りに記載されています。
北海道の社台グループの施設では1日あたり11,000円。
社台グループの主要トレセン(外厩含む)では1日12,000円~13,500円。
トレセン在厩時には月額60万円~80万円。

主要トレセンに関してはサンデーサラブレッドクラブ所属馬の場合は、ノーザンファーム天栄(関東馬)、ノーザンファームしがらき(関西)での調整となります。

参考程度にご覧ください。

その他にG1出走登録料や馬運車等の輸送代金もありますので追記しておきます。

社台サラブレッドクラブとの関係性

サンデーサラブレッドクラブへ入会する場合、社台サラブレッドクラブとの関係性を理解しておかなければなりません。

『サンデーサラブレッドクラブと社台サラブレッドクラブは共同募集クラブ』
となります。

共同募集クラブとは以下の状態を指します。

①会費3,300円を支払う事で両クラブの会員になれているという事になります。
②募集馬に関しても両クラブ通し番号になり、サンデー&社台共同募集になります。
③過去4年間で2クラブ通算で出資した合計金額が実績という形で出資の際に優遇されます。

その事を念頭に下記の項目へお進みください。

出資方法

・第一次募集

・先行受付

・第二次募集

の順番になります。

サンデーサラブレッドクラブの出資に対する抽選の特徴は、

『第一希望、第二希望、第三希望と最大3頭までのドラフト式である』
『まずは希望者全員で10口を抽選、その後30口を過去4年間での出資実績金額の順である』

という点です。

まず、『第一希望、第二希望、第三希望と3頭までのドラフト式である』

という点を紐解いていくと、会員は約一週間前から始まる毎日更新される中間発表を参考にしながら、第一希望、第二希望、第三希望までの最大3頭をクラブに対して申し込みをする事になります。

まずは第一希望ドラフトです。

個々の実績や新規会員を隔たり無く平等に、全員でまずは抽選枠10口をかけて抽選をします。

ここが、最大のポイントです。

サンデーサラブレッドクラブの場合、40口のクラブですので、第一希望が抽選になるという事は41口以上の票数が投票された事になりますので、当選率は最大でも24.3%という事になります。

2019年度の1番人気の募集馬へは103名の方が第一希望で出資申込を希望したので、当選率は9.9%という事に。

まずは、この抽選を突破しなければなりません。

そしてこの抽選に漏れてしまった方々で実績順で出資が確定していきます。

過去4年間で『サンデーサラブレッドクラブ、社台サラブレッドクラブの2クラブの合計出資額が多い方』の順番になります。
先にも書きましたが、サンデーサラブレッドクラブと社台サラブレッドクラブは同時募集になります。
抽選に外れた方を出資額が大きい順番に並べ替えて出資できる40名へ絞り込みます。

このドラフト方法にも賛否両論あるかと思いますが、ある意味ホースマンの世界では当然の結果であり、私個人はむしろ優しい方法だと思っています。

なぜなら、競り市やセールにおいては誰が一番高値を付けたかが全てであるからです。
本来であれば、出資金額の多い方が全てにおいて優遇されてもおかしくはないからです。
しかし、それでは新規会員や出資金額が少ない会員の方があまりにも不利になりますので、最初に平等な抽選を行っています。

そうすることで出金額は気にする事無く、平等なチャンスを得られるからです。

こうして、抽選と出資額により第一希望抽選が終了します。

ここで満口にならなかった募集馬で第二希望抽選がはじまります。その際に第一希望で出していた方は無条件で当選となり、残口数を希望者で抽選します。

第二希望からは出資額は関係なく、平等抽選となります。
第二抽選が終わり、それでも満口にならなかった募集馬に関しては、第三希望抽選が行われます。
これにて大激戦の第一次募集は終了します。

毎年、会員になる前から激戦を拝見していましたが、2019年より筆者も会員となり、より一層この第一次募集が過酷なのか肌で感じる事が出来ました。

サンデーの募集馬を第一希望にするべきか……
社台の募集馬を第一希望にすべきか……
第二希望で出資できるのか……
第三希望でも出資できるのか……

締め切り前日でも投票率は40%くらいで、会員の60%の方は申込しない傾向にあり、最終日にドッと票が入りますので、票読みも重要な戦略となります。

こうして幕をとじた後に、先行募集が始まります。

これは第一次募集で一口も出資が叶わなかった会員様に対し、残口がある馬を優先的に出資できるようにする救済処置です。

そして、先行募集が終了後、非会員の方でも会員の方でも申し込みが可能な第二次募集(通常募集)が先着順で開始されます。

どんなに出資したい募集馬がいたとしても最優先1頭や最大3頭までに絞り込まなければいけないので、出資できた時には何とも言えない感情が巻き上がってきます。

会員メンバー特典

ここからは会員の特徴を列挙したいと思います。

ここに関しては第一回の社台サラブレッドクラブ編で記載しておりますので、再度の掲載となります。

  • 出資馬の写真プレゼント
  • 社台グループの月刊誌「Thoroughbred」

著名人の方々の連載と国内外の競馬サークルの出来事やニュース、愛馬の情報が月刊誌として郵送されてきます。

  • 口取り(ウイナーズサークルにて優勝記念撮影)へ参加可能

出資会員様のみで10名、重賞の場合20名。40口クラブですので当選確率は高いです。

  • 優勝賞品の提供

愛馬が優勝した際に獲得した宝飾品や純金メダルなどの優勝賞品は、出資会員の中から購入希望者1名様に提供され、その際の売却代金は当該馬の出資会員様に分配されます。

  • 優勝写真のお届け
  • 優勝馬のゼッケン提供

抽選になりますが優勝した場合、縁起物として抽選でプレゼントされます。

  • 北海道牧場見学ツアー

毎年6月(4回)、9月に北海道牧場見学ツアーが実施されます。

このツアーは、北海道にある社台グループの牧場を巡り、会員募集される1歳馬をセリさながらに見学できるツアーで、目の前で社台グループの一流馬を見る事ができるツアーです。

  • 牧場ですごす休日

北海道にある社台グループの各牧場、および仙台近郊の山元トレーニングセンターなどの育成施設は、事前にお申し込みをいただければ訪問可能となっています。

  • ノーザンホースパークの入場無料

ホテルやレンタカーも優待があります。

  • 出資愛馬へのネーミング

これも40口ですので非常に採用されやすいです。

  • 親睦パーティ

東西のホテルで開催する「会員の集い」も好評。毎回、有名ジョッキーや調教師など競馬サークル関係者が多数参加する一大イベントです。

各一口クラブが特徴ある会員サービスを行っていると思いますが、やはり充実のラインナップだと思います。

特に毎月自宅へ届く「Thoroughbred」を見るたびに、社台グループの会員の一員なんだなぁ、と感じる事ができます。

クラブへの想い

ダビスタ世代の方であれば、凱旋門賞への想いは人一倍強いのではないのでしょうか。

筆者もその一人です。

2,000m以上のG1(一部除く)を2勝以上した状態で宝塚記念を制覇し、やっと挑むことができる凱旋門賞。

しかも宝塚記念は7分くらいの状態で制覇しないと本番ではとても力が出せない。

子供の頃の私の憧れかつ、とてつもない高みにあるレース。

それが凱旋門賞でした。

今でこそドバイや香港をはじめとした海外遠征は主流となり、馬の適性に合わせて各陣営が判断しています。しかし凱旋門賞は、長らく日本人が目指してきた最大のレースといっても過言ではないでしょう。

その凱旋門賞で2年連続2着になった競走馬、オルフェーヴル。

それは私にとって、夢の時間でもありました。

2012年第91回凱旋門賞。

直前になり、前年の覇者デインドリーム、日本で圧倒的な力を魅せたスノーフェアリー、強豪ナサニエルが次々に回避。

名馬たちの好勝負を期待する半面、ただただ勝ってほしい──当時の想いは、ただその思いでした。

直前でイギリス二冠馬キャメロット、フランスダービー馬サオノワ、アイリッシュオークス馬グレートヘヴンズが出走を表明し、強豪18頭が顔を揃える事になります。

オルフェーヴルの背中には池添謙一騎手ではなくスミヨン騎手。

人それぞれ色々な思いがあると思います。

今だからこそ分かる事は、関係者全員が勝ちたかったという事。

当然の事を書きましたが、主戦騎手を降ろしてまで勝ちたかった──その思いを理解できるまで、私にはかなりの時間がかかったのも事実です。

そして、運命のゲートが開いてから2:37:68が経過。

あの時ヨレなければ勝てたのか、池添騎手ならばヨレなかったのか。

激論が何日にも渡り続きましたが、残った結果は2着という現実だけでした。

競馬にタラレバは付き物であり禁句でもあります。しかしあの時は、色々な仮説が飛び交いました。

凱旋門賞に一番近づいた日。

夢ではなく、日本馬でも凱旋門賞を勝つ事が出来ると確信に変わった日でもあります。

夢は子供達に託されました。

願わくば、父と同じ勝負服で。


人それぞれにドラマや、想いがあります。

この連載では一人でも多くの方へ、一口馬主クラブの感動をお伝えできれば幸いです。

※本文中ではすべて愛馬会法人名称で統一しております。クラブ法人名は有限会社サンデーレーシングになります。

※文中の数値等は2019年7月21日現在の数字となっております。

写真:Horse Memorys

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