桜花賞では負けたけど...〜後編〜

完全な独断と偏見に基づく、魅力的な桜花賞敗北馬特集、後編です。
前編にて、ヴィーヴァヴォドカ愛を語り尽くせていません(編集部に怒られました)が、他の年度も魅力的な馬がたくさんいます。
そもそも何故みんな桜花賞を目指すのか?賞金…日程…いろいろあるでしょう。でも、名誉を手に入れたい、という意味合いも大きいのでは?そう、桜花賞にはネームヴァリューがあるのです……と、いう強引な前フリで始めていきたいと思います。

◎ネームヴァリュー◎
デビューから2連勝した本馬は堂々の2番人気で阪神3歳牝馬S(現阪神JF)に出走するも、10着と大きく負けてしまいます。その後も5着→4着と振るわず、桜花賞では12番人気まで落ちてしまっていました。結果も11着。続くオークスも10着と「もう終わってしまった馬」との見方がほとんどでした。
実際に復調の兆しが見られるのは、一年以上経ってからでした。新馬の頃に2連勝を飾った得意の札幌競馬場で、再び勝利を手にします。しかも、3戦2勝。その2勝を引っさげて、ネームヴァリューは地方・船橋の名伯楽・川島調教師のもとに移籍します。
芝のレースにしか出走した事のないネームヴァリューにとって、地方のダートレースは全くの未知数でした。しかし初戦・第2戦を圧勝すると、いきなりG1東京大賞典で4着(地方馬最先着)となり、その年度のNRAグランプリ最優秀牝馬を受賞。さらには翌年、好メンバーが集まった交流G1帝王賞を勝利。NRAグランプリの年度代表馬を、牝馬ながら獲得するという快挙をなしとげました。
諦めずにチャレンジを続けた事で最終的には未知の条件で花開く、そのネームヴァリューの素敵な生き様は非常に魅力的です。
そして、未来のダート女王すら出走する桜花賞、そのレースの懐の深さもまた、魅力的なのだと思います。
ネームヴァリューの出た桜花賞は、勝ち馬であるテイエムオーシャン(芝のG1を3勝)をはじめ、コディーノの母・ハッピーパスや、ブラックシェルとシェルズレイの母・オイスターチケットなど興味深い顔ぶれが揃っていました。素敵です。

◎ベリーベリナイス◎
ネームヴァリューと対比的に取り上げるつもりではないですが、ベリーベリナイスもとても印象的でした。デビューから6戦連続で地方競馬のダート1000mレースに参戦。そこで2勝すると、中央競馬の札幌競馬場で芝1200mのレースを2連勝。しかし何故かダートに戻ったあと、タイトなレース選びが響き長い休養に入ります。そりゃ、2歳の10月で既に9戦に出走していたわけですからね……。
長期休養を明けると、いきなり桜花賞へ参戦。
ダイワスカーレット、ウオッカ、ロープデコルテ、アストンマーチャン、ピンクカメオと、超豪華なメンバーたちと名前を並べます。しかし結果は18頭中17着。レースの流れについていくのが精一杯の惨敗でした。
その後はオークスを回避して休養に入ります。9月に復帰するも勝ち星を挙げることは叶わず、中央を離れて地方へ。地方でも33戦1勝とふるわず、ラストランは勝ち馬賞金50万というささやかなレース(結果は10着)となりました。
それでも、世界レベルの牝馬たちと肩を並べた華々しい記録、そして記憶は残っています。ダイワスカーレットの引退が2009年春(12戦)、ウオッカの引退が2010年春(26戦)と比べて、2011年夏(52戦)に引退のベリーベリナイスのタフさは、ライバルたちにも勝るのではないでしょうか。
2014年にはパイロとの仔がうまれ、アバレダイコと名付けられました。順調ならば今年デビューとなります。いつか、ベリーベリナイスの仔があの頃の桜花賞参戦馬たちの仔と戦うこともあるかもしれませんね。
やはり競馬は、血統のロマンです。

◎チューニー◎
さて、今回の企画で最後の記事となります。本当はムーヴオブサンデーとかエアトゥーレとかスティンガーとか、色々挙げたかったのですが……。
さて、本馬は桜花賞前に3戦し2勝、しかもそのうち1勝は重賞・デイリー杯クイーンCという充実したものでした。しかし、桜花賞では9番人気とかなり人気薄。三冠牝馬となるスティルインラブや、ダービー馬ドゥラメンテの母となるアドマイヤグルーヴを中心としたタレントが揃った世代という事もあっての事かとは思いますが、それにしてもあまりに低い……というのが個人的な見解でした。しかし結果は12着。やはりオッズが正しかったのか、と(私は)肩を落としていました。続くオークスでも13番人気とさらに評価をさげ、世の中では上位2頭(アドマイヤグルーヴ、スティルインラブ)に桜花賞未出走の2歳女王ピースオブワールドがどこまで食いつくか⁉︎というような空気が漂っていました。チューニーの注目度は本当に低いものとなっていました。
オークス当日。単勝93.7倍のチューニーは前目で粘り強い競馬をし、なんと2着を確保!戦前の評価を覆しました。重賞馬の実力を発揮した、といったところでしょうか。1着スティルインラブとの馬連は244.8倍の万馬券でした。見たか世間!と私はガッツポーズをしていました。馬券?もちろん買ってません。泣けます。
その後は1勝をあげつつも大きな活躍は出来ず引退、繁殖へ。
ここでチューニーの挑戦は終わりか、というとそんな事はございません。
娘にはトロワボヌールという、ダート戦線の有力馬も出てきており、大きな期待が持てそうです。今のところダートG1は2戦して2着と3着。母が走らなかったダートで、母が獲れなかったG1を獲れるのか、注目です。



さて、長々と書きましたが、楽しんでいただけたでしょうか?
桜花賞、オークスと、三歳牝馬クラシック戦線が盛り上がることを楽しみにしています!



文・オガタKSN