「競馬場×友人×ワクワク!!」〜北の大地で吠えてみた~後編

「競馬場×友人×ワクワク!!」~北の大地で吠えてみた・後編~

午前9:30に函館競馬場に到着した友人と僕は、1レース目の馬券購入を済ませると、競馬場にたどりついた達成感から、なにも成し遂げていないのになぜか「乾杯」する始末。

朝から飲んでる言い訳ではないのだが、競馬場に行った事がある人にはご理解いただけると思う。入場券を購入し、入場ゲートをくぐった瞬間の、あのワクワク感がそうさせるのだ。

これは皆さんも経験があるだろう。ディズニーランドやUSJなどのテーマパークや遊園地などに行ったときに、入場ゲートを通過し、外界とは隔たる別の世界に入り込んだ瞬間の感覚がまさにそれだ。「さあ、これから何してやろうか。今日は1日楽しむぞー!」という感覚だ。これから始まる楽しい時間に期待して、ものすごくワクワクする。

テーマパークや遊園地、映画館など、エンターテイメントを提供する施設は、その施設に入るためには入場料が必要となるが、競馬場も中に入る為には入場料が必要なのである。競馬場は、まさに大人の極上のエンターテイメント施設と言ってもいいだろう。

 というわけで、朝からビールで乾杯したくなる理由がお分かり頂けたと思うが(わかるかーい!)、肝心のレースはどうだったのか。

今日1日の良い流れを掴むためにも是非とも的中させたい1レース目だったが、僕たちのテンションとは裏腹に、あえなく不的中。

しかし、そんな事はよくある事。僕たちは、まるで何もなかったかのように「にやけ顔」で函館競馬場のおススメスポットである「地下パドック」に向かった。

競馬場の一番の醍醐味ともいうべき「実際の競走馬の迫力が真近で見れる」のはコースを走っている時と、パドックという下見所だ。

レースはコースを走っている間の2分程度しか馬を見る事ができないが、パドックでは20分もの間、じっくりと真近で競走馬を見る事ができる。

函館競馬場は、このパドックの観覧席が地下にもあり、競走馬を足元から眺めることができる唯一の競馬場でもある。

 

◆地下パドックからの目線

 

この地下パドック観覧席は席数も20席程度しかなく、いつも混雑しているのだが、並んで順番待ちをしてでも見る価値があるほど迫力満点!

今にも後肢で「パカーン」と蹴り上げられそうな角度から、普段は絶対に見る事の出来ない位置で、じっくりと競走馬の姿を見る事ができるのである。

パドックでさらに興奮の度合いを高めた僕と友人は、「3番の馬、お尻の筋肉が大きかったよねー」とか「10番がシャキシャキ歩いてたからやる気がありそうだね」とか、互いのさほど根拠もない、相馬眼(馬の資質や能力を見抜く見識)を披露し合う。

こうして、あーでもない、こーでもないと、馬を見ながら強そうな馬を予想するのもパドックの楽しみの一つだろう。

僕がパドック予想で挙げたのは、10番の馬「ドスコイ」。決して名前が面白いから選んだのではなく、首と背筋をピンと伸ばし、しっかり前を向いて歩いていた姿がとても好印象だと感じた。なによりも、パドック周回中に、僕と目が合った瞬間、「俺にま・か・せ・て」と馬が目で語ったのだ!←大いに気のせいなのだが……。

そんなこんなで、馬の気持ちを知ってか知らずか、にわか評論家になり、好き勝手に予想をしてしまえるのがパドックという場所だ。

予想を済ませると、馬券を購入し、自分の予想した馬を応援するためにコースへと移動する。

コースに移動し、見やすい場所を陣取ると、馬たちが走りだすまでの間、ドキドキしながら発走時刻のファンファーレを待つのだが、この期待と興奮に包まれた発走待ちの時間は、とても楽しい時間でもある。

互いの購入した馬券を見せ合いながら「3番7番で決まれば、けっこう配当がいいよ」と、取らぬ狸の皮算用を目論むバカな友人と、「なに言ってんの、10番で決まりでしょ」と鼻息荒く意気込む僕。他人が聞いたら、恐ろしく気持ち悪い、完全に自己満足の世界だ。

◆発走直前のゲート前

そんな輩の思いを乗せて、いざ発走時刻。小気味良いファンファーレが高らかに奏でられ、僕たちと共に、競馬場全体のボルテージもMAXに。勢いよくゲートから馬たちが飛び出す時点で、僕らは無意識に「行けーっ!」と声が出ている。なんなら、自分が代わりに走りだしそうな勢いの僕たちだ。

僕と目が合い「ま・か・せ・て」とほほ笑んでくれた10番ドスコイは、ビリから3番手でゴール……。

2人とも馬券は的中しなかったが、最終コーナーからゴールまでの直線では、半狂乱の興奮状態で「差せー!」「頑張れー」「頼む~」と絶叫しまくった。

レースが終わった瞬間には「あ~興奮して叫んだから、喉が渇いたね」と、示し合わせたようにビール売り場に直行。仲良く馬券予想が外れたことで、二人の友情はさらに深まり、「次は当たるよね」と全く根拠のない共感と憐憫に乾杯した。

そんなことを1日中繰り返し、12レースが終わるころには北海道の夏の涼しさが、体にも財布にも応えてくる。

僕たちは、朝から夕方まで、喜怒哀楽の限りを尽くした函館競馬場を後にし、函館市電に乗り込む。

すると、そこには僕たちのように、楽しかった競馬場での、夢のような時間を名残惜しそうにしている人たちで溢れている。

ディズニーランドから帰る時もそうだが、入場ゲートから出るときに感じる、楽しい夢から覚めて、現実に戻されるような寂しさ……まさに、そんな感じだ。

「また来週ね。待っててね」小刻みに揺れるローカルなチンチン電車の中で、誰もがそう言っている気がした。

僕と友人は、「よし、今日の反省会だー!」と、競馬場からもらった元気を胸に、夜の函館へと消えていくのだった……。

函館の繁華街、五稜郭駅前にあるブロンズ像

『ぢっと手を見る』藤原 吉志子 作

馬券を買えど、買えど、我が馬券当たらざるなり。ぢっと手をみる……。

文と写真:吉田 立盛

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