東海地区・北陸地区3歳クラシック路線について

今回は東海・北陸地区の3歳クラシック路線をご紹介したいと思います。
北陸地区、つまり金沢には「ダービー」がありませんので、金沢所属馬がダービーを狙う、となれば基本的には「東海ダービー」を目指すことになりますが、金沢競馬にも「三冠レース」は存在していますので、北陸のクラシック路線についても後述したいと思います。
【東海地区】
東海地区は笠松、名古屋の2場からなり、「東海三冠」は春に名古屋競馬場で行われる駿蹄賞(1962-)、東海ダービー(1971-)、そして秋に笠松競馬場で行われる岐阜金賞(1977-)の3レースとなっています。
このうち東海ダービーについては一時期名称を「名古屋優駿」と変更して1997年から2004年までの間ダートグレード競走として施行され、ウイングアロー、アグネスデジタル、ビッグウルフなどの勝ち馬を輩出しました。
また、過去には中京競馬場でも開催が行われていたため、東海ダービーが中京競馬場の芝コースで開催されていたこともあります。
東海三冠を制した馬はイズミダッパー(1980年)、ゴールドレット(1982年)、サブリナチェリー(1993年)の3頭であり、すでに20年以上東海三冠馬は誕生していないことがわかります。
2016年は連勝を重ねて一躍全国区となったカツゲキキトキトが圧倒的な内容で二冠を制し、久々の東海三冠馬の誕生が期待されましたが、陣営は三冠目の岐阜金賞ではなく、中央馬相手のダートグレード競走・白山大賞典に挑戦する決断をしたため、三冠達成はなりませんでした。
なお、駿蹄賞は東海地区限定、東海ダービーは東海・北陸地区限定となっていますが、岐阜金賞は東海・北陸地区に加え、近畿地区からも出走が可能となっています。
それでは東海地区のクラシック路線を見てみたいと思います。
【東海競馬クラシック路線】
※開催日程は2016年度を参考にしています。
一冠目の駿蹄賞へ向けて主要なステップとなるのがスプリングC、新緑賞です。特別戦、一般戦を使ってくる馬も多く見られますが、やはり主要な重賞を使ってきた馬には注目すべきです。
牝馬の場合はグランダムジャパンに組まれている若草賞、東海クイーンカップを使ったあとにクラシック参戦というローテーションも可能です。
駿蹄賞の2016年までの過去10年で、牝馬の優勝はクロスウォーター、ハナノパレードの2頭のみで牡馬優勢の傾向が見られます。
また、駿蹄賞の上位2着までには東海ダービーへの優先出走権が与えられます。
過去の主な勝ち馬にはゴールドレット、南関重賞でも活躍したカキツバタロイヤル、ホッカイドウ競馬で活躍中のアウヤンテプイ、前述のカツゲキキトキトなどがいます。
二冠目となる東海ダービーですが、前述の通り、一時期ダートグレード競走として開催されました。
2006年からはダービーウィークの1競走となり、優勝馬はジャパンダートダービーにおいて東海地区の他馬に優先して選定馬とされています。
東海ダービーは東海地区限定の駿蹄賞と違い、北陸地区も出走が可能となっていますが、北陸地区から東海ダービーを制したのは2014年のケージーキンカメ1頭のみで、その他の北陸勢は2016年にザウアーが3着に入っただけと苦戦を強いられています。笠松と名古屋の内訳では2016年までの過去10年で笠松の2勝に対し、名古屋が7勝となっています。
東海ダービーについては当然のごとく駿蹄賞を使ってきた馬が中心となるわけですが、2016年までの過去10年で前走が駿蹄賞ではない馬(他地区馬、駿蹄賞後に別レースへ出走していた馬も含む)が6勝もしており、他路線からのダービー制覇も目立っています。王道路線を歩んできた馬と、それ以外の臨戦過程で臨んできた馬との真っ向対決にも注目したいところです。
牝馬で東海ダービーを制したのは2016年までの過去10年でダイナマイトボディ、エレーヌ、ウォータープライドの3頭のみでここでも牡馬が優勢の傾向です。2015年は兵庫から移籍して参戦し、出走馬中ただ1頭の牡馬であったバズーカが制しています。
東海ダービーのその他の主な勝ち馬には、前述のダートグレード時代を除くと、トミシノポルンガ、サブリナチェリー、ルイボスゴールド、マルヨフェニックス、カツゲキキトキトなどがいます。
東海ダービー後は秋まで主要なレースがありませんので、有力馬は大井のジャパンダートダービーや黒潮盃など、他地区への遠征に出ます。
そして秋の三冠最終戦、岐阜金賞のステップとも言えるのが2015年に3歳限定の重賞として復活した秋の鞍です。そこから岐阜金賞を迎えるわけですが、ここでは東海、北陸地区に加えて近畿地区も出走可能となるため、東海地区の馬たちにとっては近畿から遠征してくる馬が強敵となります。
2016年までの過去10年で近畿地区が4勝、それもここ6年で4勝ですから、近畿地区所属馬は存在感を増しています。
主な勝ち馬にはトミシノポルンガ、サブリナチェリー、トミケンライデン、ミツアキサイレンス、ミツアキタービン、マルヨフェニックス、トウホクビジン、オオエライジン、エーシンクリアーなど、その後の重賞戦線でも活躍した名前が多々見られます。

東海地区3歳クラシックの注目ポイント
★東海ダービーは王道路線と他路線組の対決
★牝馬、笠松、北陸所属馬は劣勢
★三冠最終戦岐阜金賞に遠征の近畿地区所属馬
この3点を挙げたいと思います。 
【北陸地区】
北陸地区は金沢競馬場のみで開催され、1月から3月半ばまではシーズンオフで開催がありません。最近では地方各地で活躍中の吉原寛人騎手や、ジャングルスマイル、ナムラダイキチ、ケージーキンカメといった全国区で活躍する馬もおり、2013年にはJBCも開催されるなど、ここに来て注目度は上がってきたのではないかと思います。
さらに3歳ではヤマミダンスが7戦6勝と圧倒的な強さを見せており(2017年2月現在)、2017年クラシックに向けて大きな注目を集めるのではないかと思います。
金沢競馬には「ダービー」がありませんが、三冠レースは設定されています。北日本新聞杯(1993-)、MRO金賞(1957-)、サラブレッド大賞典(1966-)の3レースで、北日本新聞杯が創設されたことにより三冠が確立されました。
三冠を達成したのはプライムキング(1996年)、ノーブルシーズ(2008年)の2頭となっています。
それでは北陸地区のクラシック路線を見てみます。
金沢競馬で行われる3歳限定の重賞は上記のように4レースしかありません。
そのため、明確なトライアル、ステップレースがなく、臨戦過程は各馬で異なってきます。
一冠目の北日本新聞杯は北陸地区所属馬限定で、勝ち馬は上位人気が多いレースとなっていますが、2.3着には人気薄の台頭も見られます。
その後ダービーを目指すとなれば東海ダービーへの遠征となりますが、東海地区編で述べたように金沢所属馬は苦戦傾向です。
そして迎える二冠目のMRO金賞ですが、こちらは東海、近畿地区も出走が可能で、2016年までの過去10年で地元金沢勢は2勝のみと、かなりの苦戦を強いられています。しかしその2勝は三冠を達成したノーブルシーズと、近年の金沢を代表する馬とも言えるナムラダイキチでした。金沢三冠にとってはこのMRO金賞が最大の難関と言えるのではないでしょうか。
その他では名古屋所属が5勝、2016年まで3年連続で近畿地区所属馬が優勝と、ここでも近畿地区の強さは目立ちます。
ナムラダイキチ以外の主な勝ち馬には、トラベラー、トゥインチアズ、シンドバッド、JRAでも活躍したマヤノリュウジン、ダートグレードでも活躍したピッチシフターなどがいます。
三冠最終戦のサラブレッド大賞典は再び北陸地区所属限定競走となり、牝馬の場合は重賞である加賀友禅賞からの参戦も見られます。
サラブレッド大賞典は人気通りに決まることはあまりなく、波乱傾向があるレースとなっています。
過去の主な勝ち馬にはナムラアンカー、ナムラダイキチ、アルドラ、ケージーキンカメなどがいます。
北陸地区3歳クラシックの注目ポイント
★MRO金賞では他地区に比べて劣勢
★北陸限定では人気薄の台頭も
以上の2点を挙げたいと思います。
文・馬人
写真・Y.Noda