私が通っている乗馬クラブの馬達はどの馬も、昔は競走馬として活躍してきた馬だそうです。今は引退して、乗馬として第二の馬生を過ごしています。その事を聞いて初めて、私は『引退馬』の存在を知りました。

なかでも、東京競馬場の誘導馬として活躍していたこともあるケイズヒーローは、私にとって、とても大きな存在。現役時代のレースぶりも、誘導馬として活躍していた頃も知らなかった私ですが、彼との出会いをきっかけに競馬場へ足を運ぶようになりました。

誘導馬時代のケイズヒーロー

現在のヒーロー

最初はクラブの馬達の写真をスマホで撮影しTwitterにアップしていただけでしたが、競馬場へ足を運ぶうちに、次第にきちんとしたカメラで美しい馬体や可愛い表情、かっこいいレースぶりを撮影したくなりました。そしてみるみるうちに、馬の魅力にどっぷりはまってしまった……というわけです。

特に予想をして馬券を購入するわけでもなく、もっぱら『応援馬券』を購入していますが、各馬の血統や育ってきた環境、所属する厩舎など、自分の好きな馬について詳しく調べていくうちに、また更にその馬への思い入れが強くなり、元気で無事にゴールを駆け抜けて欲しい、それだけで良いと思うようになりました。

そしてさらに競馬と触れ合っていくうちに、競馬界の現実は厳しく、1勝するにもとても難しく未勝利のまま登録抹消され、そのまま行方が分からなくなる馬達が、星の数ほどいると言うことを知りました。

競走馬としての馬生は甘くはなく本当に厳しいのだ、という事をお父様が元馬主の友人からも懇々と聞かされました。

とても悲しい現実があり、だからと言って小さなペットと違い保護して家で飼育をするなんてできるはずもなく、自分の無力さを感じていたところに『引退馬ファンクラブ TCC』の存在を知りました。

『引退馬ファンクラブ TCC』は、Thanks Horse Projectのプロジェクトパートナーとして、応援していた馬を直接支援できる・オーナーになれる仕組みをつくり、登録抹消直後からずっと見守れるという、今までになかったファンクラブです。

私にも何かお役に立てることがあるのではないか?と言う思いから、まずはTCC会員に入会をし馬事公苑や京都競馬場でのボランティア活動に参加させて頂きました。

さらに昨年は、TCCホースが暮らしている岡山の吉備高原へTCCホース達に逢いに行ってきました。

とてものどかな広大な放牧場や、トレーニングする馬場があり気持ちの良い空気と施設に恵まれた素晴らしい環境に安堵しました。

私はその際に、競走馬時代は角居厩舎所属で障害レースにも出走していたグラッツィアに乗り牧場の周りをお散歩させて頂いたのですが、とても穏やかで優しい馬、という印象を受けました。

他のTCCホース達も皆、とても穏やかに感じました。きっと良い環境で暮らしているんだろうなと想像できます。

そんなTCCホースとなった馬達の第二の馬生は、今までの競走馬という勝負の世界から、乗馬・馬術・セラピーホース等、新たな人々との関係性をもった穏やかに過ごせる環境へと移っていきます。そうしたことに微力ながら支援できるよう、今後も、TCCやThanks Horse Projectのボランティアを通じてお役に立てたら、と思っています。

アンジュドゥロール
カプチーノコースト
リベルタス

特に、今後の活動場所として一番画期的で多くの方々に『引退馬』の存在を知って頂くには、様々な競馬場での普及活動をしていくことが重要だと感じています。

競走馬として人の為に尽くしてきた馬達に心から感謝し、今後の『引退馬の未来』を沢山の方々と支えていけたら、馬達への恩返しになるのではないでしょうか。それもまた、一つの新しい「競馬の楽しみ方」だと思います。

グラッツィアと私

写真:ウマフリ写真班・ユキノマドカ・Misha

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