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ラヴズオンリーユー、オークスへの挑戦〜DMM・バヌーシーが抱くクラシックへの思い〜

 

とてつもない熱意をもって、クラシックを目指す一口クラブがある。

それが、DMMドリームクラブだ。

巷では「バヌーシー」の呼び名の方が浸透しているだろうか。

 

2017年、夏。

彗星のごとく現れたのが、DMMドリームクラブだった。

DMMドリームクラブは北海道で行われたセレクトセールにて、初年度から3頭の競走馬を購入。

その購買価格は総額6億円以上となり、一躍話題のクラブとなった。

 

 

 

 

それから1年後の2018年夏、DMMドリームクラブの椎名竜大氏にお話を伺う機会があった。

その際、椎名氏に2019年のクラシック出走目標頭数を尋ねると、返答はあまりにもシンプルなものだった。

 

「全頭です」

 

きっぱりと、そう言い切ったのが非常に印象的だったのを、今でも覚えている。

3歳馬全頭を、クラシックへ──そう目標を掲げるDMMドリームクラブは、決して競馬を甘く見ているわけではない。

 

「馬の一生は1回だけ。だから全頭クラシックを目指すんです」

 

これは、クラブを始めるにあたっての、事業統括・野本巧氏の言葉だ。

現3歳世代はそうした理念のもと集められた競走馬たちだ。

したがって全頭がクラシックを目指すというのは、クラブの軸がブレていないこと……そして、その本気度の表れと言えるだろう。

 

事実、DMMドリームクラブは設立初年度からキタノコマンドールを日本ダービーへと送り込んだ。

一見無謀なようにも思える宣言だが、DMMドリームクラブなら、バヌーシーならやってくれるのではないか?

そんな思いが、ふつふつと湧いてくる。

DMMドリームクラブは、自分たちの馬の可能性をただ真っ直ぐに信じているように感じた。

 

──そして、2019年。

桜花賞はグランアレグリア、皐月賞はサートゥルナーリアが勝利を収め、3歳クラシック戦線は大いに盛り上がりを見せている。

そんな中、DMMドリームクラブでは昨年のキタノコマンドールに続き、二年連続でクラシックに有力馬を送り込むこととなった。

 

ラヴズオンリーユーである。

 

父はディープインパクト、母はラヴズオンリーミー、母父Storm Cat。

全兄には2016年ドバイターフ優勝馬であるリアルスティールのいる血統だ。

 

 

血統には、黄金配合と呼ばれる配合がある。

例えば、「父ステイゴールド×母父メジロマックイーン」からはオルフェーヴルやゴールドシップといった活躍馬が誕生していることは有名だ。

そんな黄金配合のひとつに「父ディープインパクト×母父Storm Cat」がある。

ダービー馬キズナ、香港カップやイスパーン賞などを制したエイシンヒカリ、桜花賞馬アユサンなどを輩出している配合だ。

ラヴズオンリーユーは、そんな血統を持つ1頭なのだ。

 

兄であるリアルスティールとは「血統馬らしい品の良さは共通していると思う」(椎名氏)とのこと。海外のレースに出走できるくらいの馬になってくれたら嬉しいが、まず目指すは、やはりクラシックの大舞台だと話していたのが、今や現実となった。

 

ラヴズオンリーユーは11月3日にデビュー戦を快勝。

11月25日の白菊賞(500万下)も勝利し、デビューから2連勝を飾ってみせた。

 

年が開けると、リステッド競走である忘れな草賞に出走。

様々な理由で桜花賞に出走しなかった……もしくはできなかった馬たちが揃う、忘れな草賞。

もちろん、オークスを見据えてここに駒を進めてきた馬も多い。

そんなライバルたちが集まる中、ラヴズオンリーユーは単勝1.5倍で1番人気の支持を得た。

 

その結果は、2着に3馬身差をつける圧勝。

デビューから3戦3勝という素晴らしい成績で、堂々と有力馬の一角として、オークスへと駒を進めた。

 

ラヴズオンリーユーの末脚には、思わず息を呑むほどの堂々たる美しさがある。

その末脚で、兄姉の成し得なかったクラシック制覇を──オークスの舞台でも、私たちを魅了して欲しいと願わずにはいられない。

 


 

もちろん、DMMドリームクラブの所有馬はラヴズオンリーユーだけではない。

もう1頭ご紹介しておきたいのが、アイワナビリーヴだ。

 

 

 

 

父ジャスタウェイ、母ワナダンス、母父The Leopardといった血統。

バヌーシー初年度の募集馬であるアイワナシーユーの妹が、アイワナビリーヴである。

父はステイゴールドからジャスタウェイへと変わった。

 

ステイゴールドの牝馬は小さい馬が多く、姉であるアイワナシーユーもそのうちの1頭だった。

しかし父ジャスタウェイへと変わったことで、アイワナビリーヴは馬格があるという。

馬体重は、2019年1月のデビュー時には462kgだった。

400kg前後で出走していた姉より大きいのは、ひとつ、安心できる要素だろう。

 

そんな姉妹は、気が強いところは似ているかもしれないという

なるほどそう考えると、アイワナシーユーの気の強さはステイゴールドからではなく、牝系の影響もあったのかもしれない。

 

当初、アイワナビリーヴがバヌーシーの2018年2歳馬デビュー第1号となる予定だった。

しかし、馬体チェックにて挫跖が判明し、急遽、出走取り止めに。

その後は調整を重ね、無事にデビューを迎えた。

デビュー戦では2着に3馬身半差をつける快勝。

次走となった3月のアネモネステークスでは、1番人気に支持された。

そのレースでは13着、その次走も8着に敗れたものの、まだまだそこで終わる馬ではないだろう。

 

アイワナビリーヴの馬名は「彼女の力を信じたいという出資者ひとりひとりの想いを込めて」付けられた。

多くの想いに支えられ、見守られ……ひとりひとりの信じる想いは、アイワナビリーヴの確かな力となっていく。

 

 

最後に、「バヌーシー」ことDMMドリームクラブのセールスポイントについてもコメントをいただいた。

 

「会員の一体感でしょうか。クラブの馬をみんなで支えるという意識が強いように思います。昨年のキタノコマンドールもそうでしたが、今年のラヴズオンリーユーも、出資していない会員も含めて、クラシック出走を喜んでくれています。当クラブの馬は口数が多く、買いたい馬を買うことができますので、抽選で買えなかった馬に活躍されて悔しい思いをすることはありません。そんなこともあってか、自分が買っていない馬も含めて、所属馬全頭を温かく見守る雰囲気があるように感じます。中には全頭一口買って楽しむ方もいらっしゃいます」

 

全頭一口買うなどということは、他のクラブではそうそう出来ないことだろう。

バヌーシーならではの楽しみ方なのかもしれない。

 

必ずしも、名馬ばかりが感動を生むわけではない。

募集価格が低いから、良血馬ではないから、成績を残せないから。

そんなことは、1頭の馬の前に立ってみると、どこかへ吹き飛んでしまう。

目の前の1頭とじっくり向き合うことが出来るのが、バヌーシーなのだと私は思う。

価格や口数、出資の有無に関係なく、好きな馬を応援する気持ちは皆同じなのだ。

 

斬新なシステムで競馬界に衝撃を与えたバヌーシー。

競馬に関わる馬と人。

そのすべてを巻き込んで、「感動の共有」は波紋のように広がっていくだろう。

 

きっかけひとつで、人は、競馬をこんなにも楽しめる。

「バヌーシー」こと、DMMドリームクラブ。

その魅力溢れる3歳馬たちの快進撃を期待したい。

 

 

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文・笠原小百合

写真・かぼす