· 

[重賞回顧]第67回中京記念(GⅢ)〜二転三転、スリルこそが中京競馬場〜

芝マイル戦の日本レコード1分30秒5は今春東京ヴィクトリアマイルでノームコアが記録した。

新潟競馬場の芝マイルのレコードはドナウブルーが関屋記念で作った1分31秒5。

中山競馬場では京成杯AHで1分30秒7。

高速化が進んだいま、1分32秒台は条件戦でも記録され、31秒から30秒の時代になった。

 

ところが、中京競馬場の芝マイルレコードは昨年の中京記念でグレーターロンドンが記録した1分32秒3。

このコースでは31秒台が記録されたことはなく、昨今のトレンドに反するような、高速化しない馬場、それが中京競馬場だ。

 

2019年の夏開催も梅雨の影響もあり、高速馬場とはいえない状態で開催は進み、最終日の中京記念を迎えた。

 

1番人気は大レコードが記録されたヴィクトリアマイルで2着だったプリモシーン。

3歳で関屋記念勝ち、左回りのマイルはベストな舞台だ。

2番人気カテドラルは3歳NHKマイルC3着から参戦。

同レース10着だったグルーヴィットが続き、同14着クリノガウディーと3歳勢が上位人気に推された。

 

スタートでレインボーフラッグは出負け、最内から抜群のダッシュを披露したのは前走CBC賞出走のスプリンター・グランドボヌール。

楽にハナに立とうとするところにハナを奪いたいツーエムマイスターが競りかけ、先頭を奪い返した。

グランドボヌールは抑えて2番手に落ち着いたため、前半の乱戦は避けられた。

3番手に大外枠からキャンベルジュニア、コスモイグナーツは控えた4番手になった。

直後にグルーヴィットがつけ、それを目標に外からプリモシーン、インからヴェネトが並ぶ。

この後ろ中団、クリノガウディーがいつもより下がった位置で折り合いを戦わせる。

カテドラルはその後ろを追走する。

 

前半3ハロン35秒3は平均的な流れながら、このあと3角手前から4角にかけてツーエムマイスターにグランドボヌールが並びかけたことで、11秒4-11秒3-11秒4とわずかにペースアップ。

外から人気のプリモシーンが動き、キャンベルジュニア、コスモイグナーツらがそれに呼応した。

中京競馬場の直線を考えれば、ここから先は厳しい攻防が予測できる。

 

最後の直線。その入り口に待ち構える急坂。

ここでグランドボヌールがツーエムマイスターを交わして先頭に立った。

後続との差は2馬身ほどあり、突き放せるかに見えたが、坂を上がった残り1ハロンでプリモシーンがグランドボヌールを目がけてやってくる。

最後の1ハロンは12秒3とラップが落ち、グランドボヌールの脚があがった。

プリモシーンが先頭に立った刹那、外からやってきたのが2頭の3歳馬、グルーヴィットとクリノガウディーだ。

併せ馬で追い込む2頭がプリモシーンを捕らえたところがゴール板。

わずかにハナだけ前に出たグルーヴィットが勝ち、2着はクリノガウディー。

3着には最後に急襲したミエノサクシードを抑えたプリモシーンだった。

勝ち時計1分33秒6(やや重)。

 

 

 

■各馬短評

 

1着グルーヴィット(3番人気)

 

エアグルーヴ一族から新たな重賞ウイナー誕生。

3歳でまだまだ幼い部分があり、レースがペースアップした3、4角で置かれたが、松山弘平騎手の叱咤に応えるように直線では鋭く伸びた。

結果的には勝負所で一旦置かれたことが最後の伸びにつながった。

血統面ではポテンシャルの高さは証明されており、今後は気性の成長とともに自力が強化されるだろう。

 

2着クリノガウディー(6番人気)

 

森裕太朗騎手にとって悔しすぎるハナ差だった。

3歳同士のレースでは行きたがる場面が多く、前でレースを運んでいた馬が今日は中団よりに構えて、折り合い十分。

こちらも外から来た古馬たちの動きに合わせなかったことが幸いし、最後の直線で弾けた。

2歳時にGI2着という実績があり、当時も小雨が降る若干力の要する馬場状態だっただけに中京の馬場にもフィットした印象。

今後も条件次第ではチャンス十分だ。

 

3着プリモシーン(1番人気)

 

いつもは待つ印象がある福永祐一騎手が今日は自分から外を動き、勝ちに行く積極的な競馬を展開。

結果的にはこの強気な仕掛けが最後に軽量3歳馬に足元をすくわれた格好になってしまった。

そうは言いつつ、やはり勝ちに行くという姿勢は尊く、プリモシーンの仕掛けがレースの攻防をさらにスリリングなものに変容させたのは間違いない。

できればもう少し軽い馬場の方が力を発揮できるのではないか。

その意味でもサマーマイルシリーズの主役になる一頭だ。

 

 

■総評

 

今年の決着時計も1分33秒6。

中京競馬場はやはり難しい競馬場だ。

高速化するときもあるが、基本的には時計がかかるコースであり、競馬が時計だけではないことを教えてくれる競馬場でもある。

今年は特に長い梅雨の影響から時計がかかっていたが、バンクになっていて回りやすい3、4角と入り口すぐにやってくる急坂はこの競馬場の面白さを象徴している。

このレースも3、4角でもっともラップタイムが速い区間が生まれ、最後の200mは12秒3とどの馬も余力を使い切った印象。

そこでもっとも力が残っていた2頭による決着となったために鮮やかな逆転劇となった。

スリルある攻防は中京競馬場の命。

今後もこうした攻防ある競馬をこの競馬場には期待したくなる。

文・勝木淳

写真・バン太

■関連記事