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2019年HKIRデー現地観戦記〜香港G1日本馬3勝の快進撃〜

 

2019年12月7日(土)、昼過ぎに快晴の香港に到着した。

入国審査は、ガラガラ。

それもそのはず、昨今の政治情勢により香港への渡航客は減少しているのだ。それでも私は、香港国際競走の光景をカメラに収めようと、意を決して渡航した。

 

 

しかし、空港からホテルに向かう道中、デモが行われている様子はなかった。

少し安心し、チェックインした後に湾仔から銅鑼湾方面へと出かけてみた。1か所信号が作動していない交差点があったが、それ以外は変わった様子はなく、想像していたよりは穏やかな街の様子だった。

 

 

ただプレスセンターに取材証を受け取りに行ったとき、HKJC(香港ジョッキークラブ)から、レース当日はデモの影響があるかもしれないので、レース終了後は早めに競馬場を出発するようにという指示がでた。やはり、例年とは異なる雰囲気が漂っているようだ。

 

 

そして一晩休んで、レース当日。

この日も、天気は快晴だった。朝は少し肌寒かったが、カラッとしていて過ごしやすい気候。競馬日和だ。

競馬場に到着後、芝コースに入ってみる。

 

クッションがきいていて、芝の状態は非常に良好に感じられた。しかしふと足元をみると靴が濡れている。どうやら、私が競馬場に到着する少し前に散水が行われていたようだ。

 

 

天気予報でも乾燥しているという情報が流れていたのを思い出す。おそらく馬場が硬くなりすぎないようにするための散水なのだろう。

 

 

そして12:00、1レースが発走する。

いよいよ、HKIRデーが幕をあけた。

初戦を勝利したのはモレイラ騎手。ここで一つ、日本とは違う光景に気がついた。

日本ではカメラマンが騎手に目線をもらうために話しかけることはないが、香港のメディアは大声で「ジョアン!」「ジョー!」などと積極的に声をかける。ジョッキーもそれに答えてポーズを決める──そこには、日本では考えられない近さがあった。

 

 

そしてついに4レース、香港ヴァーズの時間がやってきた。

現地では、単勝1.8倍のエグザルタントが断然の人気を集めていた。結果はインコースでじっと我慢して抜け出してきたグローリーヴェイズの勝利。G1初制覇が香港という見事な遠征になった。2着も、日本のラッキーライラック。思わず、周りにいたカメラマンと一緒に、撮影しながら「勝った!勝った!」と叫んで歓喜に浸った。

グローリーヴェイズの鞍上は、またしてもモレイラ騎手。この日早くも3勝目と固め打ちをきめていた。

 

 

 

続いて香港スプリント。このレースも断然の人気を集めている馬がいた。前走のジョッキークラブスプリントを好タイムで快勝した3歳馬エセロ。斤量53kgということもあり逃げる競馬をしたが、接戦となったゴール前で交わされて3着に。勝ったのはこのレースもモレイラ騎手騎乗のビートザクロックだった。日本から参戦したダノンスマッシュは8着に沈んでいた。

 

 

 

6レースの条件戦を挟んで迎えた香港マイル。3連覇を狙うビューティージェネレーションとインディチャンプが人気を分け合っていた。インディチャンプはふわっとしたスタートで、後方からのレースに。道中内で足を溜めていたが、直線で前が開かずに7着に終わった。

勝ったのは、日本のアドマイヤマーズ。

友道調教師が目を真っ赤にしていたのが印象に残る。この日着ていたスーツは、亡くなった近藤オーナーが香港で着用するために仕立てたものだったそうで、さらに感動を呼んだ。

 

 

 

表彰式には近藤オーナーの遺影も見られた。表彰式終了後、遺影を持った関係者の方に「おめでとうございます」と声をかけると、嬉しそうに遺影とともに笑顔で応えてくれた。

 

 

 

ちなみにアドマイヤマーズの単勝は、日本では13.4倍だったが、現地では27倍もついていた。現地で購入した人は美味しい配当にありつけたはずだ。

 

 

最後は香港カップ。

隣で撮影していたベテランカメラマンと「ここまで来たら、もう一つ勝てますね」と話していたら、それが本当に現実になる。

日本のウインブライト、勝利。香港G1を連勝と、相性の良さを再確認させてくれる結果となった。

しかし撮影していた角度だと、内のマジックワンドが勝ったようにも見えたので、松岡騎手がガッツポーズして、初めて確信が持てた。

 

 

 

HKIRデーで日本馬が3勝するのは、2001年以来のこと。

現場で取材してきたなかで、一番興奮した一日だったように感じた。

帰りのバスで全員乗車したことを確認するとHKJCのCEOが登場し、一人一人と握手。

感謝の言葉とともにゆっくりとバスの扉が閉まり、1泊2日の弾丸取材は終了した。

香港島で行われていたデモを見かけることはついになく、静かに──しかし興奮冷めやらぬ気持ちになりながら、深夜便にて帰路についた。

 

 

文と写真・三木俊幸

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