· 

[重賞回顧]第70回毎日王冠(GⅡ)~マイルか2000か、そこが問題~

 

競馬の秋を告げる毎日王冠。

ウオッカが2年連続2着、その2年目にウオッカを負かしたのはカンパニーだった。

カンパニーはその後、天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップと3連勝。

8歳にして覚醒し、競馬ファンをあっと驚かせてみせた。

タフな古豪だからこそ走り切れたであろうこのローテーションは、最近あまり見かけない。

東京芝1800mはこれから先に向けた分岐点でもある。

同じ東京の2000mである天皇賞(秋)か、京都のマイルチャンピオンシップなのか。

狙うのはどっちだ。

 

東京のマイルでGⅠを勝った馬が10頭中4頭。

ケイアイノーテック(NHKマイルC)、アエロリット(NHKマイルC)、インディチャンプ(安田記念)、モズアスコット(安田記念)、ほかにマイルチャンピオンシップ勝ちがあるペルシアンナイト。

この5頭にとって毎日王冠は分岐路だろう。

さらに距離が伸びる天皇賞(秋)か、マイル路線なのか。

東京なのか、京都なのか。

この秋に進むべき道を決める戦いに臨む。

 

そして、日本ダービー2着ダノンキングリーはある意味選択肢を絶った戦いに臨む。

同世代同士で争う菊花賞ではなく、狙うは古馬と戦う中距離路線。

世代を越える走りを披露できるかどうかの試金石。

それが第70回毎日王冠だった。

 

 

スタートで大外のダノンキングリーが内に寄れて出遅れるアクシデント。

春はスタートを決めていい位置で流れに乗っていた馬だけに、最後方追走にスタンドがどよめく。

 

先手は昨年逃げ切りを決めたアエロリット。

彼女にすでに迷いはない。

背中には初騎乗の津村明秀騎手。

戦法は一切変わらない。

外からやや福永祐一騎手とのリズムが合わないインディチャンプが2番手をうかがい、インからケイアイノーテック、ギベオンも並ぶ。

 

アエロリットはインディチャンプ以下を寄せつけないようにラップを落とさずに進む。

2ハロン目から11秒3-11秒3-11秒5-11秒5といつものワンペースな走りだ。

 

アエロリットに支配され、膠着状態に陥った馬群は目立った動きなく進み、直線コースに入る。

手応えで勝るインディチャンプがアエロリットを捕らえにかかるも、アエロリットは手応えが悪くても失速しない。

一旦はインディチャンプが前に出たが、アエロリットが坂をあがると差しかえしにかかる。

東京マイルで強いインディチャンプは残り200mが辛かったようで、アエロリットが前に出る。

 

このシーンとは全く関係なく、大外を一気に伸びたのがダノンキングリー。

アエロリットの粘り腰などお構いなしに差し切り、0秒2差をつけて快勝した。

次位モズアスコットに0秒6差をつける上がり3ハロン33秒4は力の違いの証だった。

勝ち時計1分44秒4(良)。

 

 

■各馬短評

 

1着ダノンキングリー(1番人気)

 

スタートで遅れたが、慌てずに追走し、大外一気を決めた。

アエロリットが先行馬に厳しい流れを作ったことを考えれば、結果的にこの待機策が吉と出た印象。

多頭数の本番でこの競馬はできないが、元来は先行できるセンスの良さを兼ねた馬で、とにかくここを勝ったことが今後の路線を考えれば大きい。

 

2着アエロリット(2番人気)

 

ダノンキングリーの強襲には屈したが、インディチャンプに競りこまれ、それを退けるタフさを見せた。

1000m通過58秒5、1600m通過は1分32秒6、東京芝マイルから1800mはまさにベストの舞台。

常に自らレースを作り、後続を支配し、挑む者を退ける、インディチャンプを差しかえした場面にスピードだけでなく、タフさを見せてくれた。

 

3着インディチャンプ(3番人気)

 

東京新聞杯、安田記念が証明するようにベストは東京コースだけにこの秋は路線選択が悩ましい状況だった。

マイラーズカップでよさが出なかった京都で行われるマイルチャンピオンシップではなく、できれば天皇賞(秋)に行きたかっただろう。

となれば、越えなければいけないのが距離だ。

1800mの毎日王冠は試走そのものだけに最後に手応えで見劣ったアエロリットに差しかえされた場面は距離の壁を感じさせた。

それでもアエロリットを追いかけた組が失速しているだけに今回の3着はGⅠ馬としての力を証明したものだった。

 

■総評

 

マイルGⅠ馬5頭にとって、毎日王冠は秋の目標を定めるための試走戦。

結果的に距離延長に可能性を見出せそうな馬はアエロリットぐらいだったが、天皇賞(秋)でなくても、マイルチャンピオンシップに向けて可能性はまだまだ十分あり、混戦模様のマイル路線において秋に向けてGⅠ馬が順調に毎日王冠に臨んだことが大きい。

 

勝ったダノンキングリーは日本ダービー終了後に早々に古馬と戦う中距離路線への挑戦を表明したように2000以下には絶対の自信がある。

その自信を確信に変えたのが毎日王冠だった。

本番はさらに相手が強化されるが、マイルから中距離ならと思わせてくれる走りだった。

文・勝木淳

写真・shin 1

■関連記事