桜花賞といえば、個人的には「競馬新聞を穴があくほど眺めるレース」です。記念出走馬だろうが早熟馬だろうが関係ない!待ちに待った春のクラシックシーズンが開幕する、記念すべきレースなのですから。

そこで今回は、桜花賞で良い成績は残せませんでしたが、私が個人的に記憶に残ってる馬たちを紹介します。こうやってみるとどの馬も魅力的な馬ばかり。

さすがクラシック第1戦の桜花賞、侮れません。


シンメイフジ

アパパネ世代の一頭です。新潟2歳でメンバー最速の上がりを見せ差し切り勝ちをおさめると、阪神JFではのちの三冠牝馬・アパパネらを抑えて一番人気に推されます。
その阪神JFで5着、続くフラワーCでも5着と敗戦しながらも、桜花賞では4番人気(6着)と根強い信頼を得ていました。それだけ新潟2歳Sでの勝ち方が好印象を残していたのでしょう。馬体の良さも人気を高めている一因だったかもしれません。

続くオークスで11着と大きく負けると、タイトな日程でダートに転向。交流重賞・関東オークスへ出走し、見事勝利を手にします。中央の一線級で戦ってきた馬の意地がみられた一戦だったと思います。「初ダートでも舐めないで!」というような気位の高さを感じる走り。「カッコよかったなぁ」とレース後に思わず唸りました。
その後は芝に戻ったりしながらも5歳まで無事走り切り、繁殖入りを果たします。関東オークス以降で印象的なのは、スノーフェアリーが勝ったエリザベス女王杯の逃げ。あの逃げにも彼女の意地を見た気がするのは、私だけでしょうか。
実はおばあちゃんがマイルCS勝ち馬のシンコウラブリイと、活躍馬のいる血統。
エンパイアメーカー、キングズベスト、ロードカナロアと配合され、さらにはライバルだったアパパネの父・キングカメハメハとの配合も実現しました。

メデタシ


馬名の由来は名前の通り「めでたし」。熟練された競馬ファンだと「あっ……馬主は小田切氏かな?」と察することが出来るネーミングです。
ちなみに妹の名前はトットート。馬名の意味は「確保する(博多の方言)」です。さすが(?)のセンスですね!
そんなお茶目なネーミングの馬ですが、血統表を眺めてみるとびっくり。父ディープインパクト、母父クロフネ。すごくしっかりした血統構成です。天皇賞秋で2着のステファノスやホープフルS勝ち馬・シャイニングレイなどと同じ配合です。
「メデタシ」ちゃんは、デビュー3戦目で勝利すると、トライアルレースで優先出走権を獲得(チューリップ賞3着)し、桜花賞に駒を進めました。結果は11番人気ながら4着の大健闘!
しかし、それからは振るわずに、条件戦へ戻るも未勝利のまま引退となりました。

14戦中9回が上がり上位3番以内という安定した末脚は見事でしたが、あと一歩届かないレースに悔しい思いをしたファンも多いのではないでしょうか。彼女の物語は産駒へと引き継がれていきます。いつか「めでたしめでたし」と言える日を目指して。

ヴィーヴァヴォドカ


印象的な名前といえば、意味が印象的なメデタシに加えて、音が印象的だったヴィーヴァヴォドカもご紹介させてください。

ブエナビスタ・レッドディザイアなどが火花を散らし盛り上がっていた2009年クラシック世代の、桜花賞出走馬です。ワンカラットにダノンベルベールにアイアムカミノマゴ、ツーデイズノーチス、サクラミモザ……穴党にはたまらないメンツが揃ったレースでした。結果(1番人気2番人気の手堅いワンツー決着)はさておき、戦前は目移りするようなメンバーに予想の議論が弾んだのを覚えています。


その中でも個人的に印象に残ったのは、イナズマアマリリス……じゃなくて、ヴィーヴァヴォドカ、この馬です(イナズマアマリリスも大好きですよ、もちろん!)。

前哨戦のフラワーCまでは完全に「呼びにくい名前の馬」くらいにしか思われていなかった彼女ですが、乗り替わった村田騎手の戦法がズバリとハマって逃げ切り勝ち。11番人気ながら非常にインパクトのある勝ち方でした。

それなのに!桜花賞本番ではコウエイハートにハナを奪われてしまい、2番手からの競馬となってしまいました。結果も振るわず、12着。ただ、対するコウエイハートは17着だったので、ある意味「逃げ馬対決」では勝ったと言っても良いかもしれません。
春のG1戦線では桜花賞12着・オークス10着という大敗を喫したものの、秋華賞トライアルの紫苑Sでは3番人気と、ファンからの期待も感じさせる馬でした(結果は15着)。
その後果敢にアルゼンチン共和国杯にチャレンジするなど様々な試みがなされましたが、2桁着順が続き、準オープンで最下位が2度続いたところで引退をしました。
彼女のもう一つの魅力は、その血統。

母父は、あの名馬・トウカイテイオー。さらには父もダンスインザダークと繁殖としても期待出来そうな血統でした。ドリームジャーニーやルーラーシップ、アイルハヴアナザーらと配合されています。


さて、いかがだったでしょうか?みなさんの印象に残っていた馬はいましたか?

後編でも印象的な名前の馬や印象的な走りの馬をご紹介していきます。どうぞお楽しみください!

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