· 

Rewind the race:拈華微笑 ~2012年・シンザン記念~

 

重賞レースには、これまで日本競馬を彩った名馬の名前を冠するものがある。

セントライト記念やトキノミノル記念、地方ではライデンリーダー記念やハイセイコー記念など、多くのレースで各時代の英雄の名を取り入れている。

 

1月に行われるシンザン記念もまた、昭和を代表する3冠馬である「シンザン」の名が刻まれたレースである。

シンザン同様、このレースからクラシック戦線で活躍する3歳馬が現れるともあって、クラシック戦線を占う大切な3歳重賞である。

 

2018年にはアーモンドアイがこのレースを勝って牝馬三冠を達成。

今回は、そんなアーモンドアイと同じく、このレースから3冠馬となった名牝が挑んだシンザン記念について振り返っていく。

 

 

2009年に生を受けたその世代は、ゴールドシップやジャスタウェイ、牝馬ではヴィルシーナやハナズゴールなどG1馬を多数輩出する、まさに「最強世代」のひとつと呼ばれるにふさわしい世代であった。

 

そんな世代の代表格となるジェンティルドンナは、クラシックに向けた前哨戦としてシンザン記念に挑もうとしていた。

 

実はジェンティルドンナはこの時点ではまだ、未勝利戦を勝ったばかりの馬であった。つまりまだオープン戦での力関係はまだ分からない部分が多く、どれだけのパフォーマンスを出せるかは不透明であった。

さらにシンザン記念は牡馬と牝馬が入り混じりあう混合戦の重賞である。

それだけでもかなり勝利には厳しい条件が揃っているが、管理する石坂調教師はジェンティルドンナの力を信じて出走へと舵を切ったのだった。

 

 

レース当日。

ジェンティルドンナは、単勝人気でトウケイヘイローに次ぐ2番人気。

未勝利戦の内容を加味され、ファンからは高い支持を受けていた。

ゲートが開くとまずは長い向こう正面での先行争いに入る。好ダッシュで飛び出したシゲルアセロラがレースの主導権を握り、続いて人気のトウケイヘイローなど牡馬のスピード自慢が先行勢を固めた。

対するジェンティルドンナも気性面での若さを見せながらではあるが先行勢にとりつき3番手でレースを進める。

 

迎えた直線。

ここで一気に先行勢が密集した。

ハナを切ったシゲルアセロラが粘る。外からはプレミアムブルーとトウケイヘイローが迫り、ジェンティルドンナは馬群のうち目で追い出しにかかっていた。

そして殺到する先行馬の中で切れ味を存分に発揮できたのは、ルメール騎手のアクションにしっかりと応えたジェンティルドンナであった。

残り200m付近で抜け出すと、インから追ってきたマイネルアトラクトを振り切って優勝。

見事未勝利戦からの連勝で、牡馬相手に重賞制覇を果たした。

 

このレース後ジェンティルドンナは見事3冠牝馬となり、世界を相手に戦うまでの名牝となった。

ジェンティルドンナが制した2012年以降、このシンザン記念ではマイルG1を2勝したミッキーアイルを輩出し、先述したアーモンドアイを含めG1ロードへの登竜門として新春の淀を彩っている。

 

このレースを走る3歳馬は、脈々と受け継がれてきたシンザンの強さ・意思を感じ取り、自身もまた受け継いでいこうとしているのかもしれない。

 

文・ハラシュー

写真・Horse Memorys

■関連記事