あたたかさに満ちた盛岡競馬場〜岩手の新星・関本玲花騎手のデビューから初勝利まで〜

2019年10月1日、地方競馬に新しく4人の新人騎手が誕生した。

地方競馬教養センター騎手課程の98期生だ。これだけならニュースなどで見たことがある人も多いのではないだろうか。

 

今回、私はその中でも岩手競馬の新人女性騎手である関本玲花騎手(以下:関本騎手)に魅力を感じ、デビュー週の盛岡へと足を運んだ。以前、競馬場実習時にSNSで拝見し「この子かわいい!」と感じたのを思い出し、せっかくだから盛岡に行ってみよう!と思ったのである。

 

 

 

当週の盛岡開催は3歳秋のチャンピオンシップの総決算「ダービーグランプリ」が施行されることもあり、関本騎手が目当てであった私の期待は更に大きく膨らんでいた。また、翌週にマイルチャンピオンシップ南部杯を控える盛岡競馬場は、新人騎手誕生という明るいニュースも相まって、場内に言葉にし難い高揚感のようなものが漂っているように感じた。

 

 

場内の温かい空気とは真逆で、少し肌寒くなってきた10月の盛岡、同期の中で最もデビューが早くなったのが、今回紹介する関本騎手だ。

お父さんは、元岩手競馬騎手の関本浩司さん。現在は調教師として岩手競馬に携わるお父さんの厩舎で、関本騎手は2019年10月5日(土)に騎手としての第1歩を歩み始めることとなった。

 

デビュー戦となった2Rでは待機所で先輩騎手と談笑するなどリラックスしているように見えたが、当日のインタビューの中で「とても緊張していた」と言うのだから、きっとプレッシャーに強い人なのだろう。

騎乗合図が掛かると破顔一笑、競馬の空気を感じ彼女は更に笑顔になった。

パドック周りのお客さんも「頑張れよー!」「玲花ちゃーん!」と次々に応援の声をあげて、彼女を馬場へと送り出した。

 

この時、私は地方競馬の1番あたたかいポイント(と個人的には思っている)である「地元の方々からの愛」を存分に感じたのである。

 

 

 

返し馬に向かった彼女はすぐにキャンターへと移行し、スタート位置へと向かう。風を切って走る様子に、観客も関係者も──そして関本騎手自身も、心からワクワクしたのではないだろうか。

 

 

そしていよいよ迎えたデビュー戦。

パートナーは、お父さんの厩舎に所属するマシンガントーク(牝3)だ。

ゲートが開くが、マシンガントークのスタートはあまり良くなく、あまり二の脚もつかなかった。関本騎手自身も、周りに迷惑を掛けないようにする為か、あるいは何らかの意図があってか──馬をかなり外目に回していたので、客席からはどよめきが上がった。

それでも目いっぱいに馬を追う関本騎手とそれに応え懸命に走るマシンガントークはひたむきにゴールを目指し、6着/8頭でレースを終えた。

 

また第4Rではデュエットソング(牝3)に騎乗して5着に入り、2戦目でキャリア初となる掲示板圏内の成績を残し初日の騎乗を終えたのであった。

 

 

■関本玲花騎手コメント

 初騎乗は緊張して思った以上に自分のやりたいことができませんでした。周りが全然見えなくて、馬に乗っているので精一杯でしたが、2レース目では少し落ち着いて騎乗できたと思います。

 今日はうまくいかなかったことが多かったと思いますが、しっかり反省して今後に活かしていきたいと思います。今年の目標は一日も早く初勝利をあげることです。

 

■関本浩司調教師コメント

 ゴールするまで心臓が痛くなるほどドキドキしていました。娘・玲花のデビュー戦ですからね。とにかく無事に回ってきてほしいと願っていました。整列の時は笑顔を見せていましたが、他の馬が暴れたのを見て、一気に緊張したようでした。

 先輩騎手として、父としてのアドバイスは“中途半端な競馬をしないで思い切って乗ってほしい。一生懸命に頑張ればいずれ結果が出る―”ですね。

 

 

 

紹介式を控えた10月6日(日)は、前日よりも積極的な騎乗を見せて1Rから4着に入り、いよいよ初勝利への期待が高まってきた。

その後、4R終了後にこの日のメインイベント(?)の関本玲花騎手紹介式が実施された。

小木曽なつ美さんの進行で騎手としての抱負を語ったり、ちょっぴり先輩の塚本涼人騎手ら鞭と花束の贈呈が行われるなど、終始温かな雰囲気でセレモニーは行われた。

 

セレモニーの直後には数量限定のサインを求め多くのギャラリーが手を伸ばし、新たな岩手のアイドル誕生に歓喜した。

 

 

なお、2日目も残念ながら関本騎手は勝利を上げることが出来ず、初勝利は翌日以降に持ち越しとなった。

 

そして3日目となった10月7日(月)、いよいよその時が訪れる。

2Rで騎乗するスカイルーク(牡4)はどの新聞でもグリグリの◎評価。

普通に逃げれば勝つだろう、というのが大方の見解であった。

盛岡競馬場内は来たるその瞬間に向け、盛り上がっていった。「姉ちゃん勝ちそうだから買っとくべ」といった声も聞かれるなど、期待や笑顔が入り混じる状況で、いよいよレースを迎えることとなった。

 

レースは、想定通りスカイルークが大外枠からダッシュを効かせて逃げ、すぐに3〜4馬身のリードを取る。すると道中では10馬身以上のリードを取るなど圧倒的な能力の違いを見せ、そのままゴール。

直線含め関本騎手の手はほとんど動かなかったことから、余裕の圧勝であったことが分かる。

デビュー戦から9戦目での初勝利となった関本騎手は、検量に帰って来てからお決まりの記念撮影。再騎乗する際にはお父さんの浩司さんが笑顔で足を上げてあげるなど、現場はとても和やかな雰囲気だった。

 

普段は関係者エリアでしか行わない記念撮影も、この日はファンエリア向けによこてんさんが誘導してくれるなど、サービス満点で「岩手っていいなー」と感じられる日となった。

 

 

■関本玲花騎手コメント

 初勝利することができて素直にうれしいです。1番人気は分かっていましたから、これで負けたらどうしようとすごく不安でしたが、馬のおかげで勝つことができました。騎乗機会をいただいた調教師さん、馬主さん、関係者のみなさんに感謝しています。ただ、持ってかれたままだったのが反省点。今後は内容があるレースで勝っていきたいと思います。これからの目標は、もっと技術を身につけて、これなら乗せられると思われる騎手になることです。

 


 

デビュー戦から紹介式、初勝利を見届けた私は、名物のジャンボ焼き鳥にホルモンカレーを頬張りました。昨今の女性騎手ブームに便乗しているわけではありませんが、美人さんを見た後の食事はより一層美味しく感じられた気がしました!笑

 

 

 

今後もまた、関本騎手が節目の騎乗を迎える際には、可能であれば行こうと思っています。

冬には冷え込む東北地方ですが、是非とも頑張って食らいついていき、良い騎手になって欲しいものです。

 

粗末な文章になりましたがお読み頂いた方々に改めて感謝を申し上げます。現在、地方競馬だけでなく中央競馬の騎手学校にも「女性騎手のたまご」はたくさん在籍しています。それぞれデビュー時期等々異なる条件はありますが、是非「推しメン」を見つけて応援してみてはいかがでしょうか?きっと競馬ライフに素敵な華が添えられますよ!

 

 

■関本玲花騎手プロフィール

 生年月日/2000年5月16日(19歳)

 出身地/岩手県

 所属厩舎/関本浩司厩舎(水沢)

 勝負服/胴青・黄たすき、袖緑・黄一本輪

 

 

コメント・プロフィール引用:岩手県競馬組合

本文・写真:C/A

■関連記事