園田競馬の魅力〜個性的な3人のアナウンサーたち〜

 

ウマフリ読者の皆さま、はじめまして。

mouse.と申します。愛知県在住ですが、20年近く園田(姫路)競馬ファンを続けています。

どうぞよろしくお願い致します。


 

さて、タイトルにもある園田競馬の魅力。

それはどこにあるだろうか?

私は、3人の競馬実況アナウンサーが発信している、馬と騎手と関係者達のドラマにあると思う。

 

吉田勝彦アナ(よしだ かつひこ)

竹之上次男アナ(たけのうえ つぐお)

三宅きみひとアナ(みやけ きみひと)

 

この3人のアナウンサーがレース実況を通じて園田競馬を盛り上げ、馬と騎手と関係者達はそこから多くの勇気を貰っている。

 

彼らの魅力をこの場でたっぷりとご紹介していこう。

 

 

 

【吉田勝彦アナ】

競馬実況歴64年の82歳(2020年1月現在)であり、『レーストラックアナウンサーとしてのキャリアの長さ世界最長』のギネス世界記録保持者である。

 

御存知の方も多いであろう「吉田節」と称される名実況の数々。

馬や騎手、関係者達を讃える実況、そして鼓舞する実況が特徴的だ。

 

「田中(道夫)頑張れ!」

(1991年楠賞全日本アラブ優駿。地元馬ハギノメジャーに対して)

 

「勝ったのはホシオー!やっぱりか……」

(2004年六甲盃。金沢・ホシオーの強さに脱帽した想いを込めて)

 

「やった!大山真吾!重賞初制覇!」

(2004年菊水賞。ラガーヒトリタビで大山真吾が騎手デビューから僅か9ヶ月で重賞初制覇を達成)

 

1頭1頭の競走馬、携わる厩舎関係者、そして一人一人の騎手達に声を掛け、応援し続けてきた吉田勝彦アナウンサー。

 

2020年1月9日をもって競馬実況からの引退を決意したが、園田への想いは誰よりも熱い。

 

 

そして、その想いを受けて成長してきた騎手達も、沢山居る。

それは園田のトップジョッキーだけではなく、中堅や若手騎手達、さらに、今では他地区に所属するようになった騎手も含まれている。

 

現在は笠松競馬に所属する、松本剛志騎手もその一人だ。

1998年4月に園田でデビューした松本騎手は、なかなか勝ち星をあげられず、苦しんでいた。

 

松本騎手のデビューから数年後、吉田勝彦アナがとある競馬番組に出演した際に松本騎手の話を出した。

なかなか勝てないまま数年で騎手を引退する者も少なくない園田(姫路)競馬で、松本騎手は諦めずに乗り続けていたのだ。

 

「松本剛志という騎手が居ます。なかなか勝てずに苦しんでいるが彼には『腐るなよ。オマエは必ず誰かの太陽になる』と声を掛けている」

 

そしてさらに奮起をした松本騎手は、期間限定騎乗で高知や岩手、笠松等へ武者修行を重ねた。2016年9月には盛岡で芝の重賞・ジュニアグランプリ(ダズンフラワー)を制する活躍ぶりだ。

2019年4月からは笠松競馬へ完全移籍。ナラとのコンビで南部杯やJBCクラシックにも参戦した。

40歳になった松本騎手の姿は、吉田勝彦アナの眼に、どのように映っているのだろうか。

 

僅か100秒という時間の中で、様々な想いを伝える──この「吉田節」を聴くのが園田競馬での楽しみという競馬ファンは多い。

 

かつては地上波(サンテレビ)やラジオでダイジェスト番組が流れていたから、普段競馬をやらない人でもこの実況の人は知ってるという方も少なくない。

実況を聴くだけで馬と人とのドラマが見えてくる。

それが、園田競馬の魅力である。

 

【竹之上次男アナ】

 

1998年に園田競馬場で実況デビュー。

吉田勝彦アナの愛弟子として、20年以上の実況歴を持つ腕利きだ。

落ち着いた声と的確な実況は、今や園田(姫路)競馬を盛り上げるのに欠かせない存在である。

 

経験を重ねて2002年の兵庫チャンピオンシップ以降、ダートグレード競走での実況を任されるようになった。

 

2003年の兵庫チャンピオンシップでの実況における

 

「いやぁ、ビッグウルフは強い!」

(直線の追い込みで粘るジャズアップを捕らえた)

 

という実況。

この一節が、竹之上アナの存在を大きなものにした。

 

2013年に廃止となった福山競馬場で2009年9月27日、アラブ系競走馬単独で行われる最後のレースとなった開設60周年記念アラブ特別レジェンド賞も竹之上アナが実況している。

 

アラブのメッカと呼ばれた園田で、1999年のサラブレッド導入前から実況を務めてきた竹之上アナ。そんな竹之内アナが、アラブ最後のレースを実況したのも感慨深い。

 

2008年の園田JBCではスプリントとクラシック両方の実況を担当。

あれから10年以上が経つが、再び園田でJBCが開催され竹之上アナの実況が聴けるのを待っているファンは多い筈だ。

 

10年以上前の話だが、夏の小倉開催の場外発売中の阪神競馬場で彼の姿を見掛けた事が何度かあった。

師である吉田アナは「賭け事は入門はあっても卒業は無いですから」と馬券を買う頻度は少ないが、竹之上アナは中央競馬の馬券を念入りに予想検討した上で購入しているそうだ。

 

馬券を楽しむファン、馬と人とのドラマを楽しむファンの両方から親しまれている実況は、そうした下地から来ているのではないだろうか?

 

園田(姫路)競馬の魅力を伝える語り部としての心意気を師匠から受け継いだ竹之上アナが、次はどんな後輩を育てるのか──その点にも、注目したい。

 

レースの流れにフィットする彼の実況が聴けるのも、園田競馬の魅力である。

 

【三宅きみひとアナ】

 

園田に新しい風を吹かせている実況アナウンサーが、三宅きみひとアナウンサーだ。

 

獣医師免許を所持。

公務員を辞めて実況アナウンサーの道へと進んだ異色の経歴だ。

競馬だけでなくサッカー等のスポーツ実況でも活躍し、さらには専門学校の非常勤講師も務めるという多忙な人である。

 

2008年に荒尾競馬場で実況を担当していたが、荒尾競馬が廃止となり2011年から園田で実況を担当する事となった。

 

オオエライジンが勝った2012年兵庫大賞典の実況を担当した事で、さらに注目を集める。

 

そして2016年辺りから、重賞レースの本馬場入場で歌のワンフレーズを口ずさみながら出走馬を紹介するという斬新なアイディアを取り入れている。

 

2020年で40歳。

まだまだ荒削りなところはあるが、園田競馬の魅力を様々な切り口から熱く語れるアナウンサーである。

 

園田といえば岩田康誠騎手を連想するファンも多いだろう。

2019年3月には、次男の岩田望来騎手が中央競馬でデビューした。

園田や西脇の厩舎関係者達も望来騎手を全力で応援していて、交流レースで望来騎手が園田へ参戦する際も騎乗馬を用意してバックアップしている。

そして、2019年5月23日の園田競馬場。

JRA交流・猪名川特別で、岩田親子の対決が実現し三宅アナが実況を担当。

 

最後の直線では父・康誠騎手と息子・望来騎手によるマッチレースとなり、他馬は引き離される一方。

最後は息子・望来騎手が父に競り勝つという、ファンも関係者も感動する結果となった。

 

正直、私個人は親子2代──いや3代の厩舎関係者・騎手達のドラマを見続けてきた吉田勝彦アナにこそ実況して欲しい、という思いもないわけではなかった。

しかし三宅アナが岩田親子の勝負を際立たせる実況をして、レースを大いに盛り上げた事に感動した。素晴らしい実況だった。

 

悩み苦しみながらも一生懸命に実況マイクに向かい続けてきた三宅アナだからこそ、一番魅力のある実況が出来たのかなと感じたレースであった。

 

新たな時代にマッチした彼の実況とパドック進行等が聴けるのも、園田競馬の魅力なのだ。

 

そして、3人の実況を聴ける園田競馬には馬と騎手と関係者のドラマが沢山隠されているのである。

 

レースで各馬がゴールした後の1着馬について

「勝ちました○○は△△騎手で今日2勝目、□□厩舎の管理馬です」

と語る実況スタイルは、長年にわたり吉田勝彦アナが全レースで貫いてきたスタイルである。

今でこそ他の競馬場でもこのスタイルの実況を聴く事があるが、大抵は「レースが確定するまで、しばらくお待ち下さい」で切り上げるのが普通である。

 

何十年も続くこのスタイルは、勝った馬と関係者に対しては賞賛の言葉を、他の馬と関係者達に対しては労いの言葉を掛けているように思えるのだ。

 

このワンフレーズを聴くだけで、園田競馬の魅力が伝わってくる。

そんなフレーズだと思う。

 

彼らの実況を、是非とも現地で聴いてもらいたい。

ちなみに実況を聴く上での私のベストポジションは、ゴール板を過ぎたところに位置する実況席真下のスタンド席だ。

 

文・mouse.

写真・でぃしくん、こーやさん

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