世代No. 1を決めるレースである競馬の祭典、日本ダービー。
アメリカでもヨーロッパでも、ダービーは特別なものです。

『ダービー馬のオーナーになることは一国の宰相になるより難しい』
なんて、チャーチル元首相の言葉もあるくらいです。

さて、ダービーとはイギリスのダービー伯爵の名前で、1780年に創設されました。東京優駿=日本ダービーは1932年創設で、今年(2017年)は創設85年。ただ、大戦中は中止していたので、85年記念のレースは1年ずれて2018年ということになります。

印象的なダービーといえば、武豊と河内の兄弟弟子の叩き合い、ディープインパクトの快勝、トウカイテイオーの親子無敗制覇、フサイチコンコルドのドラマチックな勝利など、色々あるかと思います。

私はと言いますと、なんといってもお題のサニーブライアンです。


サニーブライアンの血統について

まずはサニーブライアンの話の前に血統の話をしたいと思います。

サニーブライアンは、父にブラインズタイムと母にサニースイフト(母の父スイフトスワロー)という血統。

お父さんのブラインズタイムは皆様ご存知、ナリタブライアン、マヤノトップガン、シルクジャスティス、タニノギムレット、タイムパラドックスなど芝ダート問わず、大舞台に強い馬を出してるイメージです。その一方でエリモダンディー、ノーリーズンといった個性的な馬も多いのが魅力的ですね。 私が夢を見たのはヒダカブライアンでした。サンデーサイレンスが猛威を振るう中にあって、長年に渡って活躍馬を輩出したことは凄いの一言に尽きます。

お母さんのサニースイフトは唯一の重賞出走がオークスという馬。この年はスカーレットブーケ、イソノルーブル、タニノクリスタル、シスタートウショウなど豪華メンバーの年でした。そのなかで19着と、結果は出ませんでしたが、そもそもが門の狭いクラシックレース。出走しただけでも立派だと言えます。

そして、その両親の間に産まれたのがサニーブライアンです。

サニーブライアンの戦績

サニーブライアンは新馬戦でこそ勝ち上がったものの、そこからは苦戦をします。新馬戦から数えて6戦目のジュニアカップを勝ち上がり、ようやく待ちに待った2勝馬となりました。

ここからクラシックに向けて始動していくわけです。

皐月賞のステップレースである弥生賞で3着になって皐月賞出走の権利を得たあと、サニーブライアンは若葉S(この頃はまだ中山開催)に駒を進めます。

そしてそのレースでは、生涯最初で最期の1番人気に支持されますが、結果は4着。

使い詰めていった方が良いタイプだったのかもしれませんが、通常では考えにくいローテーションです。過密なスケジュールと、そのレースでの敗北、さらには大外枠の18番になったこともあり、皐月賞では11番人気となります。1番人気はメジロライアン産駒のメジロブライトでした。 

レースは大外から切り込みながらハナに立つサニーブライアン、有力馬は後ろ。
テイエムキングオーに1度はハナを譲りながらも、向こう正面で再度ハナに。ペースは早くもなく遅くもなく。
そして直線では逃げ切りを計りたいサニーブライアン対各追い込み馬の構図となりました。シルクライトニング、メジロブライトたちが突っ込んできますが、サニーブライアンがまんまと逃げ切ります。

陣営からしたらしてやったりでしょう。
他の有力馬陣営はいつでも捕まえられると思ってたはずです。
場内がざわついたことは容易に想像がつきますね。この当時3連単があればいかほどの払い戻しになったことか……。
この皐月賞は内側を上手く走ったから勝てただけ、ダービーは直線長いから保たない等、ダービーの戦前は色々言われていたことだろうと思います。

しかし、サニーブライアンは負けませんでした。
向かえた日本ダービー。
ダービーも大外枠の18番。ファンからはやはり皐月賞はフロックと思われていたようで、当日は6番人気。
この日も大外から内に切れ込んでハナを奪います。
皐月賞とは違ってフジヤマビザンや入れ込んだサイレンススズカに突かれる形になりますが、折り合ってゆうゆう一人旅となりました。
さらには直線に入ってもそのまま。上がり35.2で後ろから飛んできたシルクジャスティスを1馬身抑え優勝しました。

堂々、二冠馬になったのです。

しかしそれから、サニーブライアンは2度とターフへ戻ることはありませんでした。
ダービーのレース中に骨折。骨折明けに屈腱炎。
無事だったらどうなってたか……と、ファンに想像と、気持ちの良い逃げ切りを決めた残像をおいて、ターフから去っていったのです。

サニーブライアンのダービー勝利から12年間、美浦所属馬のダービー制覇はありませんでした。


今回サニーブライアンのことをテーマに選んだのは、思い入れや馬の強さももちろんあります。しかしそれだけではありません。
近年メディアでもレース内容がハデな為、差し馬追い込み馬が評価されがちな傾向にあります。

しかしサニーブライアンのように逃げて強い馬、番手につけて押し切る横綱競馬をする馬にもフォーカスが当たればと思いました。

今年のダービーは、前目に付ける馬たちにも注目して、皆さんにも盛り上がっていただけたら幸いです。

あなたにおすすめの記事