[テーマトーク]あなたの思い出のJBCは?~地方競馬の祭典、その記憶~

「ジャパンブリーディングファームズカップ(Japan Breeding farms' Cup)」。

「JBC」の呼称でお馴染みの地方競馬最大のイベントです。

 

地方競馬場が毎年持ち回りで開催しているJBC。

JBCクラシック、JBCスプリント、JBCレディスクラシックの3つのメインレースが行われます。

 

みんなでひとつのテーマを話すテーマトーク、今回は「JBCの思い出」をお届けします。


■おもいでのJBC

 

私の中で「JBCで勝ってほしい」と、願うように見ていたのがフリオーソ。

だから、「思い出のJBC」と聞かれたら、どうしてもフリオーソの思い出になってしまう。

 

船橋川島厩舎所属のフリオーソ。

JBCに挑戦すること、3度。地元船橋開催では1.7倍の一番人気を背負って走ったこともあった。

もちろん強さもあったのだろうけど、地元・船橋では負けられない……負けないで欲しいという、ファンの後押しも感じられた1戦。

 

しかし、レースを勝ったのは武豊が騎乗するスマートファルコンだった。

スタートから勢いよく飛び出して、フリオーソを押さえ込んだままゴールしたんだから、滅法強い。

レースが終わり、各馬が引退した今だからこそ思うのだけれど、その後のスマートファルコンの成績をみたらゾッとする。川崎記念、JBCクラシック二連覇、東京大賞典二連覇……。

スマートファルコンは、一部の心無いファンから「地方競馬荒らし」と揶揄されていた時期もある馬だけど、本当に強かった。もう、意味もなくレッテルを貼るくらいしかケチをつけるところが無いくらい、強かった。

フリオーソにとっては先行という脚質も似ていたから、あまりにも手強いライバルだった。

 

フリオーソがJBCで勝つのというが陣営の夢、地方競馬ファンの夢のひとつだったと思うし、達成して欲しかった。

当時の私は、地方競馬にハマりかけてたくらいの時期だったから、フリオーソと川島先生と内田騎手・戸崎騎手くらいしか分からなかった。今の自分からしたら「その時からちゃんと全馬を見てたら良かったのにー!」って後悔するような時代。後悔するくらい楽しかった時代というのも、今でも印象深い理由なんだろうと思う。

 

フリオーソは、一生懸命走るし強いんだけど、どこか運がない……という感じの馬だったと思う。ライバルが去っても、世代交代してきて違う馬が立ちはだかる。

スマートファルコン、ヴァーミリアン、エスポワールシチー、サクセスブロッケン。

全て、フリオーソと同じ時代を走った馬たちだ。

 

足元もそこまで強いというタイプではなく、波多野厩務員が休みがなかったというようなことも聞くくらいだから、レース直前の出走回避も多かったような印象がある。

JBCには3回チャレンジしてるものの、本来であればあともう1回だけ走るチャンスがあったはずなのだ。しかしそれも、足元の不安で回避となる。

 

いくらダート路線には息の長い活躍をする馬が多いイメージがあるとはいえ、JBCに毎年のようにチャレンジして、それも堂々の一級線で走れるってこと自体が、素晴らしい偉業と思う。

あとは勝ちがあれば最高だったんだけど……と、口惜しい気持ちになる。

 

「思い出のJBCとは?」といえば、フリオーソの挑戦した3つのJBC、すべてです。

 

地方競馬好きの私としては、ララベルやフジノウェーブのように地方競馬所属馬が「ここは俺・私の地元じゃー!」とばかりに勝ってくれることを期待して、毎年のJBCを観戦しています。

(s.taka)

■大好きなステイゴールドの娘、その激走。

 

私の思い出のJBCは、2017年──大井で行われたJBCレディスクラシック。

中央時代から応援していたラインハートが出走したレースだ。

 

ラインハートは2011年1月23日生まれのステイゴールド産駒。

ステイゴールドの大ファンの私は、当然のようにラインハートを応援してきた。

 

ラインハートは、2013年6月の中京でデビュー。2016年9月の北九州短距離Sを勝利し、オープン入りを果たした。

しかしその後はGⅢに出走するも二桁着順が続き──とうとう地方への移籍が決まった。

 

そして、大井所属となった、2017年11月。

地方初戦にて、いきなりJBCという大舞台に挑むことになったのだ。

 

「ラインハートの晴れ姿を現地でこの目に焼き付けたい」

私はその一心で、JBCの行われる大井競馬場へと駆けつけた。

 

2017年のJBCレディスクラシックは、3連覇を狙うホワイトフーガが1番人気。

以下、プリンシアコメータ、アンジュデジール、ワンミリオンスと続き、5番人気に地方馬のララベル。

ラインハートは15頭立ての8番人気、単勝は最終オッズで207.1倍だった。

 

記念にと買った応援馬券を手に握りしめ、ファンファーレを聴く。

そこからは、もう、頭が真っ白だった。

ただひたすら、ラインハートと鞍上の笹川翼騎手に祈りとも念とも思える声援を飛ばした。

 

結果、ラインハートは3着と大健闘してくれた。

 

周囲は、地方馬ララベルの勝利に湧いていた。

もちろん、ララベルの勝利も嬉しかった。

しかし、私にとってはラインハートの3着は本当に感動的だった。

 

今まで中央で懸命に、そして健気に走ってきたラインハート。

ずっと応援してきた存在が、地方競馬という場で、新たなスタートを迎えた瞬間──。

JBCという大舞台で見せてくれたあの激走は、いつまでも胸に残っている。

 

JBCには、夢がある。

競馬ファンである限り、これからもその夢を追い続けたい。

(笠原小百合)

■JBCとは、地方競馬あげての祭典なんだ!!

 

「思い出のJBCってありますか?」

 

そう聞かれて、正直焦った自分がいた。

なぜならば私にとって「JBCが特別な祭典」という感情は、いつの日からか消えていたからであり、ひとつのJPN1、ひとつの地方交流重賞という感覚になってしまっていたからである。

 

 

秋田県で育った私にとって、競馬と言えば地方競馬だった。

 

まだインターネット投票が今ほど普及していない頃。「競馬」と言ったら岩手競馬、水沢競馬や上山競馬であり、中央競馬はテレビの中で行われているものだったからだ。

 

旅行先での上山競馬場で幼少期に見たさくらんぼ記念や東北優駿、岩手で見た不来方賞などは、まだ記憶に残っている。

 

交流重賞が幕を開け、パンパンに膨れ上がったスタンドで見た、南部杯のホクトベガ。

アブクマポーロが中央勢をバッタバッタなぎ倒し、ついにはメイセイオペラがフェブラリーステークスを制覇!

 

この頃までは、本当に痛快だった。

地方の環境で育った雑草達がJRAのエリートを倒す様は、見ていて本当に面白かった。

 

それがいつからだろう。

 

2001年 中津・三条

2002年 益田

2003年 足利・上山

2004年 高崎

2005年 宇都宮

2008年 旭川

2011年 荒尾

2013年 福山

 

次々と地方競馬が消えていったのだ。

(参考URL ウマフリ記事 消えた地方競馬場

 

最近、競馬を始めた方は当時の地方競馬場の有様は想像がつかないかと思うが、一昔前のそれは凄いものだった。

閑古鳥が鳴く、という言葉がぴったりだった。

 

「今日、やってる?誰もいないや」

「複勝元返しだってよ」

「暇だし投票数ゼロでも探してみるか」

 

そんな会話が当たり前に飛び交っていたのだから。

 

 

そしていつしか地方交流重賞はJRA勢が勝ち星を重ねる格好の場のようになっていた。出走すればJRA勢が掲示板独占で、3コーナー手前で地方勢は大勢が決してる。

 

もちろん現行のルールの中で行われているのだから、何ら問題ない。

サラブレッドである以上、着順がつくのは至極当然なわけであり、むしろ強弱がつくのが当たり前だからだ。

地方と中央では施設・環境・賞金と、何もかもが違う世界と言っても過言ではない。

 

 

しかし地方勢がなす術もなく負けているのも、面白くない。

 

最近ではハッピーグリン号の中央挑戦が記憶に新しい。

いつの世の中にも挑戦する人たちがそこにいて、応援する人たちがいる。

 

 

そんな中、2007年10月31日。

その日私は、信じられない結果を目にする。

『フジノウェーブ JBCスプリント制覇』

 

メイショウバトラー、リミットレスビッド、プリサイスマシーン、アグネスジェダイ、ノボトゥルー……歴戦の砂の古豪との叩き合いを制し、初の地方所属馬でのJBC制覇を成し遂げたのだ。

 

笠松でデビューした一頭の地方馬が、栄冠を手にした瞬間だった。

 

 

私は「フジノウェーブ」という名前を見ると思う。

なぜ、あのレースを生で見なかったのだろうと。

せめてリアルタイムで見なかったのだろうと。

なぜ、最初から諦め結果だけを見てしまったのだろうと。

 

 

2019年の舞台は、浦和競馬場だ。

非開催日は競馬場内にある浦和記念公園に入場し、馬場を踏みしめることが出来るという貴重な体験ができる競馬場だ。

 

訪れた事がある方はお分かり頂けると思うが、

この競馬場は一筋縄ではいかない。

位置取りが大きなウェイトを占める地方競馬場の一つだ。

 

 

中央の競馬ファンに、ぜひ見せて頂きたい。

地方競馬の良さ。

そして、ひとつひとつの競馬場が全く違った特徴を持っているという事を。

中央と違った楽しさがあるという事を。

 

地方のオールスターが中央勢に立ち向かい、一矢報いる事で『JBCこそ地方競馬最大の祭典だ!』とアピールするのを目撃したい。

 

(高橋楓)


さて、皆さんいかがだったでしょうか?

JBCだからこその思い出は、いつまでも記憶の中で輝き続けることでしょう。

 

今年もやってくる、JBC。

心から思いっきり楽しみましょう!

編集・ウマフリ編集部

写真・Horse Memorys、笠原小百合

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